『デリリウム』(1972)
2006年10月26日 (木) | 編集 |
 70年代に量産された、ジャッロ(giallo)と呼ばれるイタリア製ミステリー映画。異様な作品が多いジャッロの中にあって、その不条理っぷりでは群を抜いていると言えるのが、この『デリリウム』なのです。

 ストーリーは…
 犯罪心理学者のアルベルト・リュータック教授(ミッキー・ハージティ)は、ある晩、バーで知り合った女性(ステファニア・ファッシオ)をクルマで送る途中…彼女の脚に欲情し、乱暴して殺害してしまいます。折りしも現場周辺では、同様の手口によって、若い女性が殺される事件が相次いでいました。バーで二人を目撃した男の証言により、アルベルトは警察の事情聴取を受けるものの…その同時刻に、再び同じ手口による殺人事件が発生したため、釈放されます。犯罪心理学者として捜査に協力することになった彼の周囲では、その後も次々と凄惨な殺人事件が起こるのですが…。

 「ジャッロ」にはありがちだと言ってしまえば、それまでなのですが…ミステリーと呼ぶには、あまりにも粗雑で穴の多いプロット…。それだけに、間違っても、真犯人探しの謎解き…みたいなものを、この作品に求めてはいけないのです。この作品の最大の見所は…何と言っても、登場人物の狂いっぷりや、全編に漲る病的で倒錯した雰囲気にこそあるのです。主人公のアルベルトは、犯罪心理学者でありながら、サディストにして性的不能者。その彼を盲目的に愛する妻のマルツィア(リタ・カルデローニ)は、夫が性的不能者ゆえに未だ処女で、マゾヒストでありレズビアンでもある…という、何ともいかれた人物設定…(^-^;)

 かように筋金入りのご夫婦のことですから、お二人のなさることも、当然尋常ではありません。警察の事情聴取から戻ったアルベルトさんを、マルツィアさんが心配そうに出迎えるシーンがあるのですが…いきなり「キミの愛のスイッチはどこだ?」と、手に持っていたキーで奥様の体をツンツンし始めるアルベルトさん…。真顔で「ここか?」、「ここか?」とやられ、感じ始めてしまうマルツィアさん…。しかも、それを陰で盗み見ていた家政婦が、興奮して自分の体をまさぐり始めちゃいます…。かと思うと…怖い夢にうなされて目覚めた奥様を、慰めるのかと思いきや…いきなりその首を絞め始めるアルベルトさん! でも、急に我に返って、「愛するキミを傷つけるなんて、ボクにはできない…」。なのに、奥様ったら…「いいのよ、私はあなたのものだから」って…。なんなんでしょーか、この映画は…(−。−)

 マルツィアの夢や妄想として、唐突に挿入されるSMやレズ乱交のシーンも、この作品の倒錯した支離滅裂ぶりを一層際立たせる効果をあげています。これらのシーンでアルベルトが見せる、カッと目を見開いて白い歯をむき出しにしている表情は、まさしく異常者のそれにほかなりません。もしかして、これはミッキー・ハージティの「素」の演技でしょうか…!? おまけに、クライマックスでは…このアルベルトにマルツィア、さらには彼女とレズの関係にあったジョアキン(クリスタ・バリモア)までもが加わって、半狂乱のバトルロワイヤル状態に。茫然自失の観客をすっかり置き去りにしたまま、暴風雨のごとく、凄まじいまでの狂気と殺意が吹き荒れて、予想だにしなかったエンディングを迎えます。

 とにかく、完全にイッちゃってる作品だけに、とても人様にオススメできるようなシロモノではないのですが…まぁ、ミニスカ履いたおねぃさん達がいっぱい出てくるんで、殿方には眼の保養ぐらいにはなるかもネ…(^-^;)

デリリウム

■デリリウム (DELIRIO CALDO)
・1972年/イタリア
・監督・脚本: レナート・ポルセリ
・キャスト: ミッキー・ハージティ、リタ・カルデローニほか

テーマ:DVDで見た映画
ジャンル:映画
 ATOLL 『L'ARAIGNEE-MAL』('75)
2006年10月22日 (日) | 編集 |
 フランスのプログレ・グループ、アトールの2ndアルバムです。邦題は、『組曲「夢魔」』。70年代の終わり頃、キング・レコードの「ユーロピアン・ロック・シリーズ」の1枚として日本に紹介された当時は、「フランスのイエス」とか、「イエスを超えた」とか言われて、大絶賛されていたんだそうです。まぁ、イエスを比較対象にするのが妥当かどうかはともかく…ユーロ・ロックの歴史に残る、誰もが認める屈指の名盤とされていることは間違いないようです。

 メンバーは…アンドレ・バルゼ(Vo)、リシャール・オベール(Vln)、クリスチャン・ベヤ(G)、ミッシェル・タイユ(Key)、アラン・ゴッツォ(Per)、ジャンリュック・Thillot(B)。最後のベーシストの名前…読み方が全然わからないよぅ…(>_<) もしかして、ティローでいいのかな?

 ユーロ・ロックにせよ、イギリスを含めたプログレにせよ、そのごく一部しか聴いたことのない私には、これが本当に「屈指の名盤」であるかどうかを云々する資格はまったくないわけですが…それでも、このアルバムはお気に入りの一枚です。まぁ、ホントのコトを言っちゃうと…実は私、アトールの作品はこれしか持ってない…というより、これしか聴いたことがないのですよ。もともとヴァイオリンが素晴らしい…ということを聞いて手を出したこともあって、オベールが参加していない作品にはまるで興味をそそられなかったのです。だから、ユーロ・ロック全体の中でのこのアルバムの評価どころか、アトールの作品中でどういう位置づけのアルバムになるのかすら、よくわかってないのです…(^-^;) でも、理屈抜きで好きだ、コレ♪

 その禍々しいタイトルとは裏腹に、シンフォニックなキーボードの音色をバックに、囁くようなフランス語の詞の朗読で始まる、1曲目の「悪魔払いのフォトグラファー」…。ずいぶんと穏やかな曲だなぁ〜なんて呑気に構えていると…囁きがいつしか絶叫に変わり、「アー、ハ、ハ、ハ、ハ、ハ」って…悪魔が取り憑いたからなんでしょうか、これ…!? その後、悪魔祓いが成功したのか(!?)、急に明るい日差しが差し込んできたかのような、晴れ晴れとしたギター・ソロ…。ところが、すぐにまた暗雲立ち込めてきて、混沌としたサウンドに逆戻り…。そして、最後は神経質にかき鳴らされるヴァイオリン・ソロが、慌しくフェード・アウトして幕を閉じます。まさに「タイトルに偽りなし」といった感じの、なんか得体の知れない曲だ…(^-^;)

 続く「カゾットNo.1」は、彼らのテクニカルな面がフルに発揮されたインスト曲。ギター、キーボード、ヴァイオリンが、入れ替わり立ち代りでソロをとっていくスリリングな展開がカッコイイです♪ CDにはボーナス・トラックとして、この曲のライブ・テイクも収録されているのですが…こちらは既にオベール脱退後のものなのか、ヴァイオリンが入っていません。リリカルなヴァイオリンと哀愁漂うバルゼの歌唱で始まる「恍惚の盗人」も…やっぱり複雑な展開をたどる曲。冒頭の穏やかなヴォーカルのバックで、控えめに鳴っているヴァイオリンが、またステキなんですが…「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ!」の掛け声で終わるのは、ちょっとカッコ悪いかも…(^▽^;)

 しかし、何と言っても圧巻なのは…タイトル曲の「組曲『夢魔』」ですネ。トータル21分強にも及ぶ、4曲構成の大作です。最初の「思考時間」…いきなりフランス語でブツブツ呟いてるところへ儚げなヴァイオリンの音色が響いてきて、それがだんだんと焦燥感を煽るかのように強まっていく…という冒頭部にゾクゾクさせられます。続く「夢魔」は、後半のノリのいいリズムとシンセの奏でる浮遊感のあるサウンドが心地よいです。で、そのままのテンションを保ったまま「狂った操り人形」へ…。バルゼが熱唱してます!! ラストの「プラスチックの墓碑」は、終盤、悲鳴を上げながらのたうち回るヴァイオリンの音色が凄まじいです。とにかく、この「組曲『夢魔』」…複雑な曲構成でありながら、間延びしたところがまったくなくて、息もつかせぬ展開で一気に聴かせてしまうところがスゴイです。ただ、唯一残念なのは…おフランス語の知識がない私には、歌詞がまるで理解できないところ…。そのため、"L'araignee-mal"(直訳したら、「邪悪な蜘蛛」!?)がなんで「夢魔」って訳になるのかも、理解できないのです…(>_<)

 あっ、歌詞はさっぱりわからないんですが…「夢魔」の前半のヴォーカル・パート聴いてて、何気におフランス語の"r"の音っていいな…って思いましたヨ。"cristal"とか"contrees"って単語に出てくる"r"の響きが(笑)。

■ATOLL 『L'ARAIGNEE-MAL』
(オリジナル・リリース'75年)

アトール/組曲「夢魔」

1: Le photographe exorciste (悪魔払いのフォトグラファー)
2: Cazotte No.1
3: Le voleur d'extase (恍惚の盗人)
4: L'araignee-mal (組曲「夢魔」)
  ・Imaginez le temps (思考時間)
  ・L'araignee-mal (夢魔)
  ・Les robots debiles (狂った操り人形)
  ・Le cimetiere de plastique (プラスチックの墓碑)
5: Cazotte No.1

テーマ:洋楽CDレビュー
ジャンル:音楽
 『ガス人間第1号』('60)
2006年10月18日 (水) | 編集 |
 『ガス人間第1号』は…東宝特撮のいわゆる「変身人間シリーズ」の一つ。液体人間、電送人間、ガス人間なら、私は子供の頃からガス人間が一番好きだったんですが…皆さんはどれが好きでしたか?(←知らねーよ)

 ストーリーは…。
 都内で頻発する凶悪な銀行強盗…。白昼堂々と銀行を襲った犯人は、行員や警察官を窒息死させ、厳重にカギのかかった金庫から大金を奪った後、忽然と姿を消していました。警視庁・捜査一課の岡本警部補(三橋達也さん)は、捜査を進めるうちに、突然羽振りが良くなった日本舞踊の家元、藤千代(八千草薫さん)に疑いの目を向け始めます。やがて藤千代の屋敷から、盗まれたものと同一番号の紙幣を押収した警察は、彼女を拘留して金の出所を聞き出そうとするのでした。ところが…そこへ、水野(土屋嘉男さん)と名乗る男が現れて、自分こそが真犯人だと言い出したのです…。

 『美女と液体人間』('58)、『電送人間』('60)の後を受けて、『ゴジラ』('54)の本多猪四郎監督のもと製作された本作は、円谷英二氏の特撮技術が存分に発揮された東宝特撮映画の傑作のひとつ。自由自在に体を気体化することができるガス人間の変身シーンを、リアルな映像で描いています。ただし、「特撮映画」とは言うものの、特撮シーンはこの気体化する場面とラストの劇場が炎上する場面ぐらいなもので、むしろストーリーにより重きを置いた作品となっています。

 悲惨な人体実験の失敗によって、ガス人間にされてしまった水野を、東宝特撮ではお馴染みの土屋嘉男さんが好演しています。大胆不敵な笑みを浮かべながら、報道陣を従えて警察に出頭してみせたり、新聞社のインタビューに得意げに応じてみたり…と、自らの能力に過剰なまでの自信を抱くガス人間・水野。しかし、その一方で…藤千代に一途な思いを寄せる彼は、彼女を幸せにするためなら、罪を犯すことも他人を犠牲にすることも厭わない…とまで言い切ります。藤千代も、自分のために罪を重ねる水野に初めは戸惑いながらも、やがて唯一の理解者となった彼に急速に惹かれていきます。そして、二人に訪れる、壮絶で救われないラスト・シーン…。この作品…単なる特撮映画というよりも、さながら世間から見捨てられ、世間に背を向けた男と女の、悲しい恋の行方を描いた物語…といった趣なのです。

 そんなワケで、「大人向けの特撮映画」だけに、ストーリーは全体的によくできていると言えます。ただ、細かいことにこだわってしまえば、ちょっと不自然かなぁ…という部分も、なきにしもあらずでしょうか。例えば、人体実験のシーンで…怪しげな注射をされて、これまた怪しげな装置の中に入れられたうえに、頭にヘンなモノを被せられて両手両足を固定されても、まったく言われるがままの水野…。「いくら月給2万円だからって、少しは警戒しろヨ (・◇・)/」と、思わず突っ込みたくなってしまったのですが…(^-^;) あと、ガス人間が服だけ残して通風孔やドアの隙間から逃げて行くシーンがあるんですが…あれって、今度人間に戻った時には服着てないってことですよね!?

 まぁ、それでも…私にとってこの作品、東宝の特撮映画の中では、『マタンゴ』('63)と並ぶお気に入りだったりするのです。八千草薫さん演じる藤千代の、楚々とした佇まいもステキですヨ♪ また、宮内國郎さんの音楽(後に『ウルトラQ』でも使われたんだとか)も、悲劇的な物語を一層ドラマチックに演出する効果をあげています。

 ボク達、負けるもんかっ (・◇・)/

ガス人間第1号 ガス人間第1号
三橋達也 (2007/02/23)
東宝

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■ガス人間第1号
・1960年/日本
・監督: 本多猪四郎
・製作: 田中友幸
・脚本: 木村武
・特技監督: 円谷英二
・キャスト: 三橋達也、土屋嘉男、八千草薫ほか

テーマ:DVDで見た映画
ジャンル:映画
 ベーム/BPO 『モーツァルト交響曲全集』
2006年10月09日 (月) | 編集 |
 カール・ベームが'59〜'68年にかけて、およそ10年間の歳月を費やして完成させたモーツァルトの交響曲全集(全46曲)です。全曲録音としては、ラインスドルフ/ロイヤル・フィル(私は未聴ですが)に続くものだそうですが…ベームのこの全集は、長きに渡ってモーツァルトの交響曲演奏の一つの規範とされた、誰もが認める名盤中の名盤です。

 これを手に入れたのは…もう3年くらい前でしょうか。私にとっては、これがモーツァルトの交響曲全集のファースト・チョイスでした。思い切って買ったはよいものの…CD10枚組みという仕様だけに、一時は宝の持ち腐れにもなりかけましたが、1年以上かかって何とか全曲聴き終えることができました。まぁ、それでも、初期の曲のほとんどはそんなに熱心に聴いたとは言えなくて…今でもやっぱり、自ずと後期6大交響曲、あるいはせいぜい後半の4枚(26番以降)ばかりに偏って聴いてしまいますねぇ…(^-^;)

 ピリオド楽器による演奏が主流になってしまった今となっては、どの曲も腰がどっしり据わった感じで、さすがに「重い」印象を受ける演奏です。でも、この決して鈍重ではない、ほど良い重厚さ(例えば、クレンペラーあたりと比べて)は、ピリオド演奏では決して味わえない構築美と格調の高さを伴ったもの。遅めのテンポで1音1音をじっくり聴かせるような29番や、悲愴感がひたひたと心に染み入ってくるような40番など…どれもこれも、「最早このテンポしかありえない!」…と言いたくなるくらい説得力のある名演です。「ジュピター」の最終楽章のフーガも、壮大さが際立っていてカッコイイです♪ まぁ、逆に初期の曲については、さすがにピリオド演奏に慣れてしまった耳には、ガッチリしすぎていてツライものがあるのですが…。

 最近はブリュッヘンあたりが一番耳に馴染んでしまっている私ですが…来る日も来る日もこればかり聴いていた時期があるだけに(苦笑)、やっぱりこのベームの全集には、今でも自然と手が伸びてしまいますネ。明るさや軽快さとはまるで無縁な、骨太で引き締まった演奏は、ピリオド演奏がむしろ軽薄に思えてしまうほど堂々たるもの。個人的には、新旧ランバッハのみならず、34番の第3楽章まで聴けるのが嬉しいところです。こと「全集」に限れば、近頃はこれさえあればいいや…って思えてきました。あっ、でも…ブリュッヘンには、何としてでも全曲録音を成し遂げてほしいですケド(ハイドンもお願いします♪)。

■カール・ベーム指揮/ベルリン・フィル 『モーツァルト交響曲全集』
(録音1959、61、62、66、68年/DG/453 231-2)

ベーム/モーツァルト交響曲全集

 RUINS 『III』('88)
2006年10月05日 (木) | 編集 |
 '88年にトランス・レコーズからリリースされた、ルインズ初のフル・アルバムです♪ 当時はアナログ盤のみのリリースでしたが、その後ほとんどの曲がリミックスされ、SHIMMY DISCから出たCD、『STONEHENGE』('90)に収録されました。また、'93年には、全曲を収めたCDが、SSEから再発されてもいます。

 実家に戻られた河本さんに代わって、記本一義さん(B、Vln、Vo)が新たに加入。ハードコア・パンク顔負けのパワーで押しまくり、一直線に暴力的で荒削りな楽曲が多かった吉田+河本時代に比べ…このアルバムでは、近年のルインズにも通じる、変幻自在に展開していく複雑な構成の曲が目立ち始めています(「B.U.G.」、「INFECT」など)。もちろん、初期のルインズを彷彿とさせるような曲(「MASACARI」、「DIVIDED」)もあるのですが…ヨッシーのヴォーカルが、かつてのような「絶叫ヴォイス」でなくなったぶん、かなり聴きやすくなっています(もちろん、一般的な意味での「聴きやすい」には、依然として程遠いのですが…)。また、「HALLELUJAH!」や「RIPPLES」のように、ヴァイオリンを大胆に取り入れた楽曲は、この吉田+記本時代特有のものですが…ヴァイオリンの音色が低音ヴォイスとファルセット・ヴォイスとの掛け合いや美しい(!?)ハーモニーにマッチしていて、私は大好きです。ただ、どの曲も、音の密度がそれまでにないくらい濃くなっていて、聴きようによってはゴチャゴチャしてうるさい印象も…。ほとんどノイズの嵐と化した、「ルインズ階段」!?…って感じの曲(「GOVERNMENT」、「OCTOPUS」)もあるし…(^-^;)

 SSEから再発されたCDは、ボーナス・トラックも収録された豪華版なのですが…さすがに通しで聴いたら、耳と頭が壊れてしまいそうです…(^▽^;)

■RUINS 『III』
(TRANS RECORDS/TRANS-39/'88年/現在廃盤)
*'93年にSSE COMMUNICATIONSより、CD『INFECT』として再発(SSE8018CD/現在廃盤)。

RUINS/III

[SIDE A]
1: GOVERNMENT
2: HALLELUJAH!
3: GRUDGE
4: MASACARI
5: KOMOREBI
6: B.U.G.

[SIDE B]
1: FLAGMENT
2: RIPPLES
3: DIVIDED
4: OCTOPUS
5: DADAISM
6: INFECT

テーマ:本日のCD・レコード
ジャンル:音楽
 『吸血処女イレーナ/鮮血のエクスタシー』('73)
2006年10月01日 (日) | 編集 |
 これまでに200本近い作品を撮り、今なお現役という…ユーロ・トラッシュ映画界の重鎮、ジェス・フランコ(ヘスス・フランコ・マネラ)監督。この『吸血処女イレーナ/鮮血のエクスタシー』は…彼の公私にわたるパートナー、リナ・ローメイ主演の「吸血鬼映画」です。

 主人公は…呪われた吸血鬼一族、カールスタイン伯爵家の末裔イレーナ(リナ・ローメイ)。吸血鬼であるが故の孤独と罪悪感とに苛まれ続ける彼女は、その傷ついた心を癒すため、一族の別荘があるマデイラ島へとやって来ました。しかし、彼女の周囲では、やがて人々が次々と不可解な死を遂げていきます。村の青年ラソニー(ジャック・テイラー)は、彼女が吸血鬼であることを知りながら、イレーナの妖しげな魅力の虜になっていきます。彼との出会いによって純粋な愛に目覚めたイレーナは、ラソニーを受け入れ、遂に二人は結ばれるのですが…。

 実は、この作品には「ソフト・バージョン」と「ハードコア・バージョン」があるらしいんですが…私が観たのは、「ヘア無修正ハードコア完全版」ってヤツです。一言でその感想を言ってしまえば…これ、全然ホラーぢゃないぢゃん! そうです…

 ただのポルノじゃねーかヨ (・◇・)/

 確かに「ソフト・バージョン」のほうは、ちゃんとした吸血シーンが出てくる、結構マトモな「吸血鬼映画」なのですよ。ところが…「ハードコア・バージョン」はと言えば、リナ・ローメイが常時ほとんど全裸で、のべつまくなしにエッチしてるんです。で、一応「吸血シーン」はあるんですが…相手の首に噛みついて血を吸うんじゃなくって、これがなんと股間から…。しかも、血だけじゃなくって、魂というか、精というか…まぁ、言うなれば「精魂」ですわ。それを吸い尽くして、死に至らしめてしまうという…(^-^;) それを「吸血シーン」って言われちゃってもなぁ…。だって、傍から見たら、「やってる」だけにしか見えないんだもん…(^▽^;)

 そもそもオープニングからして、ぶったまげますヨ。霧の立ち込める森の中をリナ・ローメイがゆっくりと歩いて来るのですが…身に付けているものといったら、黒いマントとロングブーツとベルトだけ…。私は初め、下半身にはTフロント・ショーツみたいなのを履いてるのかな…とか思って観てたんですね。ところが…おもむろに下半身がクローズアップされてみると…"T"の字の縦線の部分はアンダー・ヘアでした…(^-^;) Tフロントじゃなくって、ベルトしてるだけだったんですね、アハハハハ…。でもって、リナさん…この後のほとんどのシーンに、このご衣裳(衣装か、コレ…!?)でご登場ですヨ。しかも、街中へも堂々とこのカッコでお出ましになられます(リゾート地だからOKなのか…!?)。とにかく、彼女の常軌を逸した脱ぎっぷりの良さと、手に汗握るハードコア・シーンの連続こそが、この作品の醍醐味なのです(←本気で言ってんのか!?)。

 ジェス・フランコらしい、夢と現実との狭間を漂うような不条理の世界…と言ってしまえば聞こえはいいのですが…まぁ、ストーリー自体、あってないようなもの。目の不自由なオルロフ博士(ジャン・ピエール・ブーソー)が、女性の遺体の検死をするシーンで、股間に手を突っ込んで…「これは吸血鬼の仕業だ!」とやってみたり…。チェスに興じる二人の女性が、リナが姿を見せるや、「待ってたわ」とか言って彼女を奥の部屋に連れ込み、いきなり服を脱がせてムチで打ち始めちゃったり…。極めつけは…監督自ら、事件の謎を追うロバーツ博士の役で登場するものの、結局彼は事件の解決には何一つ貢献しないまま終わってしまったり…(最後はお風呂覗いてただけです!)。とにかく、随所に盛り込まれたハードコア・シーンを除けば、メリハリも脈絡もまるでないストーリー展開。それでいて、妙にアンニュイな音楽の効果もあってか、どこかシュールでかったるいムードが全編に漂っていて、それが心地よいと言えば心地よいかな…と。うーん、うまく表現できないけど…風邪気味で熱っぽくて神経が弛緩してる時に、タウリン1,000mg配合のドリンク剤なんかを大量に飲んで不条理なコト考えたりすると…こんな世界が描けちゃいそうな…そんな感じ。

 一応「ホラー映画」という範疇で語られることの多い本作ですが…怖いシーンを期待して観ちゃうと、かなりガッカリさせられちゃいます。かと言って…ポルノと割り切っても、どうなんでしょう…。主演のリナはともかく…女性記者といい、ムチ打ちプレイのおねぃさんといい、相手役の女優さんについては、お世辞にもキレイな裸とは言いがたいレベル。おまけに、「ハードコア」を謳ってるだけあって、エッチ・シーンにもまるで品がありません…。ポルノと割り切って観るのなら、「エマニエル・シリーズ」とかのほうがずっといいかも…(^-^;)

吸血処女イレーナ 鮮血のエクスタシー ヘア無修正完全版 吸血処女イレーナ 鮮血のエクスタシー ヘア無修正完全版
リナ・ローメイ (2002/10/25)
ジェネオン エンタテインメント

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■吸血処女イレーナ/鮮血のエクスタシー (FEMALE VAMPIRE)
・1973年/フランス・イタリア
・監督: J. P. ジョンソン(ジェス・フランコ)
・製作: マリウス・レスール
・脚本: J. P. ジョンソン(ジェス・フランコ)、ジェラール・ブリソー
・キャスト: リナ・ローメイ、ジャック・テイラーほか

テーマ:ホラー
ジャンル:映画